Tuesday, March 1, 2016

0066 史上最強の哲学入門 飲茶 ★★★


いやあ、面白い。

この本、歴史上の哲学者が東京ドームの地下闘技場に集まって、誰の論が世界最強かを決めるために戦うという仕立てになっています。この、一見すれば素っ頓狂な仕立てが本書の内容のわかりやすさにつながっているんだな、というのが一読しての感想です。どうしてかというと、哲学の歴史は、一時的に支配的になった考え方に対して、次の時代の誰かがアンチテーゼを提案することで進化してきた・・・・というか変遷してきたという経緯があるからです。これは非常にプロレス的というか、時間軸をぐっと圧縮すればとてもドラマチックな状況ですよね。

一人ひとりの哲学者の主張に関する解説は、率直に言って乱暴なくらいに簡素化されていますが、だからこそ時代をまたいで論を受け継ぎ、戦わせていく経緯がくっきりと浮かび上がっているわけで、「入門」と銘打っている以上、これ以上を求めてはいけないかなと思います。

個人的に筆者のセンスを感じたのが、闘技場に登場する各哲学者の紹介アナウンスです。いくつか気に入ったものを抜粋すれば

神殺しは生きていた!更なる研鑽を積み人間狂気が甦った!超人! ニーチェだー!
経験されしだい還元しまくってやる!現象学の開祖!フッサールだー!
邪魔するやつは火かき棒で殴る!二十世紀最大の言語哲学者!ウィトゲンシュタイン!

といったあたりでしょうか。三つ目のウィトゲンシュタインは、おそらくカール・ポパーとの論争のシーンから持ってきたんでしょうが、よくもあのネタを持ってくるよなあ、と・・・

中途半端にわかりにくい哲学入門なんかに挫折し続けてきた人にこそ読んで欲しい、最後の哲学入門といえるでしょう。

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