Tuesday, March 1, 2016

0061 失敗百選 中尾政之 ★★



タイタニック号の沈没やスリーマイル島原発のメルトダウンなど、古今東西の失敗から後々の教訓になるような極めつけの事例をあつめて、そこから事故が発生する原因を41のパターンに整理して紹介している本です。百選とありますが、紹介事例は二百近くて、この「失敗の羅列」を呼んでいるだけでも非常に興味深いと思います(中には多数の死者を出している事故もあり、こういう言い方は不謹慎に響くかも知れませんが、犠牲になった方たちのためにも、こういった知識は興味をもって広く共有されるべきかと思います)。

著者である中尾政之先生は東京大学大学院の工学教授で、本書も本来は工学に携わる人にとっての戒めとすることを目的に書かれています。なので要因の整理も工学的な視点、たとえば「設計と異なる材料を使った」や「腐食の進行を予測していなかった」といった指摘が多いのですが、ほかにも「コミュニケーション不足」や「リスクマネジメントの不備」といった組織・人的な要因についてもかなりの紙幅がさかれており、組織に関わって仕事をする立場にある人であれば、必ずしも開発や設計に携わっていなくても、さまざまな気付きのある本だと思います。

本書は、たしか丸の内丸善の三階の工学のコーナーをブラブラしているときに見つけて、ぱらぱらとめくってみたら、あまりにも面白くて購入を即決したことを覚えています。普通のホワイトカラーにとって、大型書店の自然科学や工学系の棚はチェックの対象に入っていないかも知れませんが、僕が常々言っているように、実はこういう棚にこそ、自分の知識を他人と差別化するためのネタが詰まっているのだと思って、鉱脈を探すような気持ちでぶらついてみると面白いと思います。



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