Tuesday, March 1, 2016

0053 日本人のための宗教原論 小室直樹 ★★★



本書は、社会科学の巨人、小室直樹先生によるキリスト教、イスラム教、仏教についての説明書です。小室直樹先生の本にはほとんどハズレというものがありませんが、本書もやはり死ぬほど面白くって、最初のページを読みはじめたらもう止められません。

宗教学者が書いている宗教の解説書はたくさんあって、たとえばライプニッツ!でもマックグラスの『キリスト教神学入門』とか田川建三さんの『イエスという男』などを紹介していますが、この本は小室直樹という社会科学者によって書かれているというところがミソです。

社会科学と宗教という組み合わせになると、すぐに思い出されるのがマックス・ヴェーバーによる「プロ倫」=『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』ですね。この本は、資本主義が発達した国はどうしてみんなプロテスタントなのか、なんでカトリックじゃないのか?というヴェーバー自身が建てた問いへの答えになっていて、読めばプロテスタントという宗教の説明にもなっている部分もあるのですが、やっぱり社会科学の本だという印象を受けます。

小室先生による本書についても、もちろんそれぞれの宗教の基本的な教義や習慣などについても説明されていて、たとえば仏教における「空」の概念などは、とてもわかりやすい説明になっています。ですが、それ以上に、それぞれの宗教が結果としてどのように社会や人々の思考へ影響を与えているのかという点についても書かれていて、それが本書に凡百の類書とは異なる深みを与えていると思います。

宗教に興味があるないを問わず、社会や世界と関わりのある人であれば必ず得るものがある本だと思います。



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