Tuesday, March 1, 2016

0043 光の教会 安藤忠雄の現場 平松剛 ★★



安藤忠雄氏の代表作の一つである「光の教会」。十字形に抜かれたスリットから入る光が、堂内から見ると「光の十字架」のように見えることからこう呼ばれることになったその建築が、どのようにして出来上がったのか。この本は、施主である教会の教会員という立場で、建築家への相談から実際に建物ができあがるまでのプロセスすべてに関わった著者による、一種のドキュメントです。

あらためて考えてみれば、こういう本は珍しいと思うんです。

世界的に著名な建築家である安藤忠雄氏ですから、関連する本はたくさん出版されています。でもその殆どは本人か、あるいは建築評論家によって書かれているわけで、この本のように建築の専門家でもなんでもない人が、施主の立場として安藤忠雄氏と一緒に建築をつくりあげた・・・さらに言えばそれが建築史的な意味合いを持つ作品となったというのは、ものすごく貴重な記録だといえるのではないでしょうか。

で実際に読んでみると、やっぱりこれは「建築」の本ではなくって、「仕事」の本だなと思うわけです。世界的に著名な建築家が、依頼主からのオーダーに対して、どのように考え、どれくらいの時間軸で、どんなアイデアを提案し、チームを組み、プロジェクトマネジメントをしているかがとても具体的かつユーモラスに描かれていて、ものすごく参考になります。具体的なエピソードは本書を読んで欲しいのですが、僕が読んで感じたのは、普通のサラリーマンより緩いんじゃないかという部分(=スケジュールとか予算とかはあってないようなもの)とプロフェッショナルとしてものすごくこだわる部分(=コンセプトをシャープに煮詰め、ブラさない)とが渾然一体となっている感じですね・・・融通無碍であり緩急自在なんです。

会社や顧客の都合に流されて結局は誰も喜ばないようなモノをぞくぞくと世の中に生み出してしまっているというのが今の日本企業の大多数の人たちの仕事だと思います。そういう人たちにとって「納得のいく、いい仕事」をするためには何が必要なのか、どういう強さを持つべきなのか、について色々と示唆のある本だと思います。







No comments:

Post a Comment