Tuesday, March 1, 2016

0036 L.V.ベートーヴェン『悲愴・月光・熱情』 エミール・ギレリス ★★



ベートーヴェンの中期ピアノソナタ「悲愴」「月光」「熱情」の3曲です。演奏はエミール・ギレリス。

これもいわゆる定番中の定番と言える一枚ですね。ベートーヴェンはピアノソナタという形式を完成させた人物と言えますが、これら中期の3曲を聴くと時が経つに連れて少しずつ形式が複雑化しながら音楽の深みが増していくのがわかってとても興味深い。

一番取っ付きやすいのは間違いなく最初の「悲愴」なんですが(何と言っても第二楽章をビリージョエルが歌にしているくらいですから)、聴き込んでいくとやはり「熱情」の奥深さに心打たれる様になります。

闘争を通じて勝利を獲得するというベートーヴェンの人生をそのまま楽曲にしたらこうなるのだろうなという、まさに「熱情」ですね。ともすると走ってしまいがちな楽曲なのですが、ギレリスはとても抑制をきかせてじっくりと弾きあげています。

本当はギレリスの動画があると良かったのですが、あまりクオリティの高いものがなく、これはほぼ同時期に活躍したアラウの演奏になります。うーん、僕はギレリスの方が好きだけど、やっぱり甲乙つけがたいかなあ。

Claudio Arrau "Appasionata" Beethoven

いかにもベートーヴェンそのものというか、人格が音楽になっている感じなんですけれども、面白いのが、このアクの強さはキャリアの後期になると全く抜けてしまって、本当にすまし汁のような枯淡の味わいに変わっていくんですよね。ベートーヴェンはピアノソナタを32曲書いていますが、例えばこの28番なんか、ちょっとアクが抜けきっちゃったというか、もう透き通っちゃってる感じですよね。

Emil Gilels "Piano Sonata No.28" Beethoven

ということで、ベートーヴェンのピアノソナタは本当に傑作がたくさんあるので、どこから聞いてもいいと思いますが、まずは冒頭に挙げた三つから入るのが、間口としては良いかと思います。

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