Tuesday, March 1, 2016

0024 経営戦略の思考法 沼上幹 ★★


これはポーターの『競争優位の戦略』やバーニーの『企業戦略論』の解説でも触れたことですが、多くの経営学の名著と言われる本は、非常に偏ったモノの考え方をする傾向があります。ポーターは「企業の収益性は立ち位置で決まる」と主張しており、バーニーは
「企業の収益性は内部の競争資源の優劣で決まる」と主張しています。もちろん、実務の世界に生きている人にとっては、両者の主張とも間違っていて、答えは「どっちも大事」ということになります。

ところがここに問題があって、ポーターもバーニーもその世界では神様みたいに考えられている人なので、彼らの本を読んで金科玉条のように考えてしまう人がいるんですよね。ビジネススクールで講師をしているとしょっちゅう出会うんですけど、ビジネスマンとして成功したいというより、一種の経営学オタクと言っていいような人です。仕事ができないので周囲の人を知識でコケ脅したいというタイプで、こういう人は「ポーターはこう言っている」「バーニーはこう言っている」といったことをドヤ顏で語りたいわけです。

で、繰り返せば、両者ともに極端な主張をしているので、それを批判的に読まないといけないわけで、そうなると相対化するためのマップが必要になります。で、この沼上先生の著作は、僕が知る限り、ミンツバーグの『戦略サファリ』と並んで、最もその相対化に役立つ本だと思っています。

経営戦略にはどのような考え方があり、それぞれの優位点と欠点を、学者らしい非常にニュートラルな立ち位置から解説しています。個人的には、ポーターやバーニーの原書をいきなり読むよりも、沼上先生のこちらの本を読んで経営戦略論に関する全体像を頭に入れてから読むと、よりいいのではないかと思います。

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