Tuesday, March 1, 2016

0020 キャズム ジェフリー・ムーア ★★★


事業や商品の成長と衰退を時間軸で考察する際のフレームワークとしてライフサイクルカーブという考え方があります。平たく言えば「事業や商品は、導入期→成長期→成熟期→衰退期という四つのフェーズを経て成長し、衰退していくという考え方です。で、あらためてこうやって読んでみると、まあそうだろうな、という感想しか持ち得ないくらいに陳腐で当たり前のことを言っているだけです。

これほど「コンセプトとしては有名なのに実務では全く使えない」というフレームワークもちょっとないんじゃないかと思いますが、ジェフリー・ムーアによる本書を読むことでちょっとだけ、このフレームワークを実務で使えるようになります。

本書が指摘しているのは、ズバり「導入期がうまくいったからといって、成長期に突入できるわけではない。両者の間には大きな溝=キャズムがあって、これを乗り越えられるかどうかが、新規事業成長における鍵だ」ということです。様々な事例を紹介した上で、なぜそう言えるのかというメカニズムに対しても言及されていて、これがとても腹落ち感があるんですよね。

で、本書の効用はなにかとあらためて考えてみると、やっぱり「覚悟が持てる」ということなんじゃないかと思います。新規事業を始めて、苦労の末にやっとこさ売上が立ちはじめて、関係者が「これでなんとか軌道に乗った」と安堵しているとき、キャズムが指摘するのは「この後にやってくる溝=キャズムを超えるのが大変なんだよね」ということで、じゃあその溝=キャズムを乗り越えるために、いまから何をやっていくべきか、という指針が得られる、ということです。

新規事業の立ち上げに関わるような立場の人であれば必読の一冊だと思います。

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