Tuesday, March 1, 2016

0018 消費社会の神話と構造 ジャン・ボードリヤール ★★


この本をマーケティング関連の必読書として紹介しているのは僕くらいかもしれませんね。著者のジャン・ボードリヤールは二十世紀後半に活躍したフランスの思想家です。

当たり前のことですが、ボードリヤール自身は、もとよりこの本をマーケティングの教科書として書こうとしていたわけではありません。しかし結果として、できあがった本はマーケティングに携わる人にとって非常に示唆深いものになっています。

マーケティングというのは「必要以上の消費を促進させる技術」と定義することができます。電通が1970年代に提唱していた「戦略十訓」を読めば一目瞭然です。


一:もっと使わせろ
二:捨てさせろ
三:無駄使いさせろ
四:季節を忘れさせろ
五:贈り物をさせろ
六:組み合わせで買わせろ
七:きっかけを投じろ
八:流行遅れにさせろ
九:気安く買わせろ
十:混乱をつくり出せ


このメッセージは、あまりにも反社会的というか、イケてないのでさすがに現在は表立って言及されることは少ないようですが、マーケティングというのは要するにそういう活動だということです。

ここで考えてみる。じゃあ、人はなんのために必要以上のものを消費するのだろうか?これこそが、ボードリヤールが立てた「問い」でした。そしてその回答は、それは他人との差異を示す記号を手に入れるためである、というのが本書の主張です。

他者との差異、つまり「私はあなたたちとは違う」ということを周囲に知らせることが消費の主目的だと説いたわけです。この本を読んだのは二十代の後半で、まだ広告の仕事に携わっていたのですが、「ああ、そうか」と非常にスッキリしたことを覚えています。

マーケティング、なかでも耐久消費財やラグジュアリーグッズに関わる仕事をしている人には必読の本だと思います。

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