Tuesday, March 1, 2016

0015 人事屋が書いた経理の本 協和醗酵工業 ★★



広告代理店からビジネススクールに行かずにコンサルタントになった僕にとって、会計と財務は鬼門でした。どの教科書を読んでも無味乾燥でつまらないし、なによりもビジネスとのつながりがよく理解できなかったんですよね。

たくさんのルールや計算方法が出てくるんですけど、そもそも「会計や財務ではなぜそういう考え方をするのか」という疑問を持った読者に対しては、ほとんどの本が「そういものだから」「それが会計の常識だから」で終わっていて、どうも釈然としなかったんですよね。

そんな中で、先輩から薦められたのがこの本です。何がいいって、まずシンプルに読んでいてワクワクして楽しい。なぜ楽しいかというと、会計を通じて経営を見る眼が養われるからです。そうか、だからこういう考え方をするのか!というのが伝わってくるんです。

例えば会計の教科書に必ず出てくる損益分岐点の計算方法ですが、ほとんどの教科書には「このように計算せよ」とあるだけで、思想的な背景が語られることはありません。ちなみに、多くの会計の教科書に書かれている計算方法について、僕は未だに覚えられません。

ところが、本書では式の説明に入る前にこうくるんですよね。いわく、損益分岐点とは何か?それは粗利益で固定費をまかなえるギリギリのポイントだと。

どういうことか、簡単な計算例を出してみましょうか。たとえば固定費が100万円かかる事業があったとして、原価80円で売値100円の商材をいくら売れば、赤字を出さずに済むか?粗利益は100円ー80円=20円ですから、100万円÷20円=5万個ということになり、5万1個目からは利益が出ることになります。だから損益分岐点は粗利額=固定費になるポイントだよ、と説明した後で、式が出てくるわけです。この説明の仕方だと忘れようったって忘れられません。

僕はビジネススクールで講師をやることもありますが、会計がらみの話が出てくるところでは必ずこれを生徒に教えています。すると生徒の方も「こんな分かりやすい計算方法があったか」と、それまで会計の教科書で覚えていたやり方を一蹴して、みんなこちらにシフトします。

この考え方がいいのは、粗利=固定費がバランスするところが損益分岐点だと知ることで、利益を上げるためには1:固定費を下げる、2:売上個数を増やす、3:売上マージンを増やす・・・といったように、様々な経営上の打ち手にそのまま思考がつながっていくことです。

損益計算書についてだけでなく、貸借対照表の読み方についても、僕はこの本以上に面白く、わかりやすい本を知りません。ビジネスに携わる人であれば、ぜひ一度眼を通しておいて欲しいと思います。

No comments:

Post a Comment