Tuesday, March 1, 2016

0013 MBAファイナンス グロービス ★★



財務に関する仕事をしていない人が、ファイナンスを学ぶ意味があるでしょうか?僕の考えは断じてイエスです。どういう意味があるのかというと、ゲームのルールを知ることができる、というのが大きなポイントです。

若手のビジネスマンに対して、よく「経営者目線を持て」という話が出ますが、ではそう言われて経営者と同じ目線を持てるかというと、まあ難しいですよね。どうして難しいかというと、経営者が向き合っているゲームと、現場の人が向き合っているゲームが違うルールでプレーされているからです。

現場の人は、目の前の業務をうまく完遂できるかどうかという、徹頭徹尾そういうゲームをしているわけですが、では経営者はどういうゲームをやっているかというと、これは株主からの圧力を打ち返すというゲームをやっているわけです。で、経営者の成績簿はどういうフォーマットで出てくるかというと、これが徹底的にファイナンスの用語で描かれているわけです。だから、経営者と同じ目線で会社についての問題意識を持とうと思ったら、絶対にファイナンスのプロトコルを理解していくことが必要になるわけです。

そういう意味では、ほとんどのビジネスマンにとって、ファイナンスという科目は実務的なスキルを身につけることよりも、ファイナンスという競技における「採点項目とその背景にある思想」を理解することが重要だと思います。これはオリンピックにおけるフィギュアスケートや体操といった審美系競技と同じで、何がポイントになって何が減点につながるかを理解していないと、戦略そのものが立てられないということです。

すべてのビジネスパーソンに、本書を読んで欲しいと思うのはそういう理由で、経営者が向き合うことになるファイナンスの成績簿を理解するための知識を、非常にコンパクトにまとめて理解することができるというのが本書の美点だと思います。ここはなかなか難しいところで、ファイナンスについて説明している本はたくさんありますけど、その多くはやたらと微に入り細を穿ったような専門書か、極端に表面的な説明しかしていない本のどちらかです。本当に良いバランスを保っているなと僕が思うのは、この本と、あとはライプニッツでも別途紹介している石野雄一さんの『ざっくりわかるファイナンス』くらいしかないと思います。財務部門や経営企画部門で専門的に企業価値評価をやるというのならまだしも、多くの人にとって、まずは「ゲームのルール」を知るためにファイナンスを学ぶということであれば、この二冊で充分だと思います。





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