Tuesday, March 1, 2016

0009 失敗の本質 戸部良一ほか ★


企業というのは意思決定のカタマリと捉えることができます。社長から新入社員まで、元日から大晦日までのべつまくなしに意思決定をしていて、その巧拙によって企業価値が上下することになります。いやいや、社長はともかくとして、下っ端の人間は意思決定よりも手を動かしているんじゃないの?と思うかも知れませんが、手を動かすのも結局のところは脳の命令に従っているわけで、現場の動きが悪いとか良いとかいうのも、結局のところは意思決定のクオリティに還元されることになります。

だから、ものすごく単純化すれば、企業の業績を上げたければ組織全体の意思決定のクオリティをあげれば良い、ということになるわけですが・・・では意思決定の品質はなにによって決まるのか?というのが問題になります。

情報量?論理的思考力?いいや、それは「空気」だ、というのが本書の指摘です。

情報量が十分にあっても、論理的思考力が十分にあっても、組織を包む「空気」によって意思決定のクオリティは破壊されてしまう。だから、組織の意思決定のクオリティを高めたければ「空気」をコントロールするのが大事だ、ということです。

僕はいろんなところで論理思考の力をトレーニングするなんていうアホらしいことは止めておきなさい、と吹聴していますが、それはなぜかというと組織の意思決定のクオリティは個人個人が持っている論理思考の能力によって左右されるわけではない、というのがその理由です。

普通の思考力を持っている人が数人集まって肝胆相照らすような議論を進めれば論理思考の能力なんて問題ではなくなります。問題になるのは、本音を出し合って議論をし尽くすということができるかどうか、という「空気」の問題だということなんですけど、そのメッセージを、旧日本軍の信じがたいように愚かな作戦を事例に取り上げながら説明した本です。

本書の題材になった事例は全て大東亜戦争のものですが、これを日露戦争と比較してみても面白いかも知れません。前者は大企業、後者はベンチャー企業と例えられるわけですが、往々にして大企業がベンチャー企業に足元をすくわれて衰退する理由が、両者の対比から浮かび上がってくるように思います。

組織論について学びたいのであれば必読の本だと思います。


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