Tuesday, March 1, 2016

0006 燃えよ剣 司馬遼太郎 ★★


一流の娯楽歴史小説として有名な本書ですが、僕はこの本をリーダーシップ論、組織論のテキストとして読むと面白いと思っています。一部の研究者から「史上最強の剣客集団」とまで言われる「新撰組」ですが、では短期間のあいだにそこまで強力な組織を、どうやって作り上げたのでしょうか?

新撰組というのは、よくご存知の通り浪士浪人の寄せ集めに過ぎません。入隊資格もいい加減なもので、基本的に健康な人だったら誰でも入隊できたらしい。これはつまり、現在の多くのベンチャー企業や、採用に苦労している中堅企業と同じ状況だったということです。ピカピカの人材は採用できない、となればそこそこの人材を採用して鍛えるしかありません。そして、まさにそれをやったのが新撰組、なかんずく土方歳三だったわけです。

新撰組副長であった土方歳三が、新撰組創設期に行った様々な打ち手を組織行動論の枠組みから分析するととても興味深い。規律の導入、動機付け、等級制度の設定、権限の移譲、人材の育成・・・この人は現代に生まれていたら類い稀な経営者になっただろうな、と思わせられます。

ここでは深入りしませんが、局長である近藤勇と副長である土方歳三とのリーダーシップのバランスも興味深いと思います。

そう思って読まないと「ああ、面白かった」で終わってしまいますが、一度、組織行動論や組織開発に関する簡単な入門書を読んでから、「新撰組は、なぜあんなに短い期間に、必ずしも人材資源に恵まれていたわけではないのに、あれほどに強力な集団を作り上げられたのだろうか」という論点を立てて、一行一行からそのヒントを発掘してやろうと思いながら読んでみると、これほどに「絞れる」テキストはない、と思います。

組織作りに興味のある人にとっては必読の一冊かと思います。

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